犬の移行上皮癌に対する新しい分子標的薬療法について

犬移行上皮癌は外科手術を実施しても、再発や移転が高確率で起こり、リンパ節・肺・骨・皮膚・腎臓・肝臓などさまざまな場所に転移します。

よく知られている治療薬として、ピロキシカム、フィロコキシブなどの非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDS)やシプラチン、ミトキサントロン、ビンブラスチンなどの科学療法と呼ばれる従来からの殺細胞抗癌剤があります。

 

近年、獣医学分野においても人と同様分子標的薬と呼ばれる癌細胞の無限に増殖する、シグナルをブロックする新しいタイプの抗癌剤が販売され種々の固形腫瘍に有効であることが分かってきました。

代表的な薬剤として、トセラニブ(パラディア®)がよく知られていますが、残念ながら移行上皮に対しては際立って有効とはいえません。

一方、東京大学の獣医臨床病理学研究室の前田先生らにより、HER2と呼ばれる細胞増殖や生存、分化、移動、血管新生などにかかわる癌遺伝子で、人医では、乳癌・胃癌・卵巣癌などで遺伝子増幅や蛋白過剰発現が認められる分子が犬の移行上皮癌において顕著に活性化し過剰発現していることが分かりました。

このHER2阻害薬であるラパチニブ(タイケルブ® NOVARTIS)が、犬の多くの症例で有効であることが確認されました。

内服薬であり有害事象(副作用)も比較的軽度で、無進行期間や生存期間も有意に延長しており、当院でも確認できました。

 

この治療に興味のある方は、院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。

院長 東條 雅彦

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