長居動物病院ブログ

2024.02.08更新

純血種の猫の飼育頭数が増えると共に、猫コロナウイルスに対するアレルギー疾患であるFIP(猫伝染性腹膜炎)の症例がたびたび来院されるようになりました。

20年以上前からFIP(猫伝染性腹膜炎)を診断・治療させていただいた私にとって、2019年の猫コロナウイルスに対する抗ウイルス剤GS441524の注射および内服薬の出現により、お陰様で440匹の猫ちゃんを治療させていただき、90%強の寛解率を達成することができました。

しかし、残念な事になぜ100%近くにならないかといいますと、大きな原因といたしまして、当院に来院された時点で手おくれの状態であるとういう事が挙げられます。これには発症してからはっきりとした診断がつかずに動物病院を2件、3件と、はしごしている間に病状がどんどん悪化してしまい、いくらすばらしい抗ウイルス剤を投薬しても、サイトカインストームと呼ばれる自分の免疫の暴走により、死に至るからです。

 

迷っている時間はありません。日々刻々と死が迫ってくるのです。

 

院長獣医師 東條雅彦は、20年以上の経験をもとに何を調べれば、より早く、より安価にFIPの確定診断がつくのか追求してまいりました。

 

FIPに罹患しているかどうかよくわからないまま不安を抱えている飼い主様は、まずはお電話でお問い合わせください。

 

 

追記:

2024年(令和6年)現在、FIP,猫伝染性腹膜炎に対し、国内承認薬と言われているモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)という抗ウイルス剤は、もともとヒトの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しての薬剤であり、猫のコロナウイルスに対する薬剤ではありません。具体的には、何日間投薬すればよいのか、どのような検査結果が出れば寛解といえるのか、また安全性(薬用量)はどうなのかなど、はっきりと解っておりません。また正規品として日本国内に流通しているモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)は高額で、多くの獣医師は輸入品を使用していると聞き及んでおります。以上のことから当院では、もともと猫用として開発されたGS441524を第一選択薬として使用しております。

 

投稿者: 長居動物病院

2023.09.04更新

 

グリオーマ・グリオブラストーマ(GBM)神経膠種・神経膠芽種は非常に悪性度が高く、現行治療(放射線や抗がん剤など)では治療困難な脳腫瘍で、人間だけでなく犬や猫にも認められます。

2023(令和5年)に出たNatureという世界トップレベルの学術雑誌の中で、グリオブラストーマの腫瘍細胞は、神経細胞と接続することで細胞増殖が活性化していることがわかりました。

その結果、シナプス(神経細胞同士が連絡する接点)形成などに重要なタンパク質である
Thrombospondin-1(Tsp-1)の発現が上昇していることが発見されました。


そこで、Tsp-1阻害剤であるGabapentin(ガバペンチン)を使用すると腫瘍細胞の増殖を抑制できることが明らかになりました。
今回の発見は、脳腫瘍に伴う脳機能障害が腫瘍拡大による単純な圧迫による脳浮腫だけではなく、腫瘍と神経のシナプス形成による脳機能ネットワーク改変による障害や腫瘍増殖も原因であることがわかりました。
ここに登場するガバペンチンはすでに犬のてんかんや神経疼痛を抑える薬として、日本国内でも販売されています。

 

獣医界のみならず、人間の脳腫瘍の治療にも大きなインパクトを与える可能性も秘めています。
もし、獣医の大学病院や二次病院の画像診断で神経膠種と診断され、手の施しようがないと宣言されたら、是非一度院長獣医師東條雅彦までご連絡ください。

投稿者: 長居動物病院

2021.08.06更新

ワンちゃんの肝臓癌の約70%は肝細胞癌であります。

肝細胞癌は腫瘤型結節型びまんの型の3つのタイプがあります。これらのうち腫瘤型は外科手術で摘出が可能であれば治療としてはベストだと思います。

ですが、複数の肝葉を侵している結節型や、散らばっているようなびまん型は外科手術が不可能です。

それでは黙って放置するしかないのでしょうか?

近年、腸内細菌叢の研究が急速な進歩をとげ、高脂肪食の取り過ぎや肥満になると、腸内でグラム陽性菌(染色液で青っぽく染まる細菌)が増殖しグラム陽性菌の細胞壁成分であるリポタイコ酸が腸肝循環である門脈を経由し、肝臓に至り肝臓腫瘍部でPGE2(プロスタグランディンE2)と呼ばれる炎症物質が多く産生されることがわかりました。

このPGE2は、炎症を起こすと同時に、抗腫瘍免疫(癌細胞を攻撃する免疫細胞、例えば、キラーTリンパ球やNKTリンパ球というような細胞性免疫)を抑制し、肝癌細胞を大きくしてしまうようなことが起こります。

 

以上の事実から、肝細胞癌を大きくしない為に2つの攻撃ポイントがあることがわかりました。

その1,肥満を解消し、腸内のグラム陽性菌数を減少させる。

その2,肝細胞癌が産生するPGE2(プロスタグランディンE2)をブロックすることにより、抗腫瘍免疫を復活させ再びキラーTリンパ球やナチュラルキラーTリンパ球を活性化させ、肝細胞癌を攻撃させること。

 

その1については、犬の食事療法や運動することによる肥満解消、整腸剤や抗生物質、オゾン注療法などによるグラム陽性菌数を減らす方法がとれること。

その2については、2021年現在、日本国内で犬の治療に用いられている。一部の非ステロイド系抗炎症剤を使用しPGE2を減らす方法が考えられています。

 

犬の肝臓癌の治療について、興味のある方は院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。不在の場合こちらより連絡させていただきます。

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2019.08.13更新

口腔内メラノーマ(悪性黒色腫)は、老犬に多く見られ上顎、下顎骨切除や放射線治療など全身麻酔下での生体にダメージが大きい治療にもかかわらず、周辺リンパ節や肺、脳などに転移し、治療の甲斐なく短命な結果に終わります。

 

もともとメラノーマ(悪性黒色腫)は抗原性が高く(宿主の免疫細胞に発見されやすいこと)本来なら免疫細胞の標的となり破壊されてしまうはずなのに、なぜどんどん大きくなってしまうのでしょう。

それは、癌細胞が宿主の免疫細胞から身を守るため表面にバリアとなる分子を発現(防弾チョッキを着る)したり様々なサイトカインと呼ばれる液体分子を出す(戦闘機が妨害電波を出す)ことにより免疫細胞を無力化してしまうからです。

分かりやすく説明すると、いくらアガリスクやAHCC、コルディG、イペットSなど免疫増強サプリメントだけを与えても自動車で例えると、アクセルを踏み続けてもブレーキを解除しなければ車は前に進みません。

やがてエンジンが壊れ車が廃車(すなわち体力を消耗して悪液質となり死に至る。)となってしまいます。

 

そこで当院では、アクセル、すなわち免疫を増強させるために注射薬(ルペオール、犬用インターフェロン、丸山ワクチン)を二週間に一回皮下注射し、ブレーキを解除するため分子標的剤のトセラニブ、非ステロイド系抗炎症剤やシメチジンを用いて治療を行い大きな副作用も認められずほぼ全頭に、元気食欲増進、腫瘍の縮小が見られ飼い主さまから好評をいただいております。一部の症例の使用前、二週間後の顔写真を掲載しておきます。

  

私に最短二週間長くても一か月の治療時間をください。それで結果がでなければ、いさぎよくこの治療から手を引きます。

なお、この治療については院長獣医師の東條雅彦にご相談、お電話ください。不在の場合こちらより連絡させていただきます。

 

院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2019.04.02更新

昨今、犬の高齢化が進み認知症、特に柴犬などに多く見られる夜鳴き、徘徊、不適切な排尿排便などにより飼い主に精神的肉体的に多くの負担を生じております。

そこで、人間の認知症治療にも用いられている「 フェルラ酸 」の一部をトウモロコシ由来のγシクロデキストリン、環状オリゴ糖でナノカプセル化したサプリメントを経口投薬することにより、上記の症状が改善することが認められました。


この治験に関しては、院長が承っております。

詳しくは受付もしくはお電話にてお問い合わせください。

院長不在の場合はこちらからご連絡させていただきます。


院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2019.04.02更新

昨今、犬の高齢化が進み認知症、特に柴犬などに多く見られる夜鳴き、徘徊、不適切な排尿排便などにより飼い主に精神的肉体的に多くの負担を生じております。

そこで、人間の認知症治療にも用いられている「 フェルラ酸 」の一部をトウモロコシ由来のγシクロデキストリン、環状オリゴ糖でナノカプセル化したサプリメントを経口投薬することにより、上記の症状が改善することが認められました。


この治験に関しては、院長が承っております。

詳しくは受付もしくはお電話にてお問い合わせください。

院長不在の場合はこちらからご連絡させていただきます。


院長 東條 雅彦

投稿者: 長居動物病院

2018.08.07更新

猫伝染性腹膜炎は、ウェットタイプである3型アレルギー及びドライタイプである4型アレルギーという病態を示すウィルス誘発性の自己免疫反応であります。

 

治療のポイントとしては、ウィルスそのものを攻撃する方法と自己免疫性のアレルギー反応を抑制する方法の同時進行が好ましい。しかしながら、現時点において一般獣医師に手に入る抗ウィルス剤がないのが現状であります。

そこで当院では、抗ウィルスサプリの「コルディーG」と自己免疫性のアレルギー反応を抑制するためステロイド剤及び、腸内免疫を調節する整腸剤の3種類の薬剤を主として治療を行っております。

 

治療の結果、黄疸がなくなったり食欲が出始め元気に生活できるようになった症例猫が見受けられるようになりました。

 

この治療のお問い合わせは、医院長獣医師、東條が承ります。

お気軽にお電話ください。

不在の場合、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

2017.11.14更新

犬や猫の扁平上皮癌は、皮膚や口腔内、特に高齢化した動物に多く見られます。
外科手術や放射線治療で治療できれば、それにこしたことはありませんが、全身麻酔下でおこなう必要があり、体に受けるダメージも部位によっては、大きいものがあります。
では、内科的な治療法はないのでしょうか。
時代の進歩とともに注射薬、内服薬、外用薬が選択肢として表れました。
①注射薬
ルペオール注射液
癌細胞の核内遺伝子NF-kBに働き、癌による炎症疼痛を抑える働きをします
ビタミンA注射液
未熟な扁平上皮の癌細胞を角化させる働きをします。

②内服薬
Palladia(トセラニブ)
チロシンキナーゼと呼ばれる細胞分裂に働く信号をブロックすることにより、扁平上皮癌細胞を縮小させます。
ピロキシカム
本来非ステロイド系抗炎症剤でありますが、プロスタグランディンE2という炎症物質であり、免疫抑制物質を抑制することにより癌細胞の増殖を抑制します。

③外用薬
セラミド
本来化粧品にも使用される皮膚のうるおい成分でもありますが、癌細胞をアポトーシス(死亡させること)させる作用があることが近年発見されました。
皮膚表面だけでなく、口腔内にも使用できます。現在、当院では犬と猫の口腔内扁平上皮癌に使用しております。

これらの治療法についての質問、お問合せは院長、獣医師東條がうけたまわります。お気軽にお電話ください。
院長不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

2017.11.14更新

犬の乳腺腫瘍の約50%が悪性であり、そのうちの約半分つまり全体から見ると約25%がリンパ節、肺、脳などに転移するきわめて悪性度の高い乳腺癌と言われているものです。
これまでは、有効な抗癌剤はなく、はっきり申し上げてお手上げの状態でした。
しかし、最近、海外文献より人間の糖尿病治療に使用し、約50年の歴史のあるメトホルミンという薬が犬の乳腺癌に反応し、縮小することが判明しました。メトホルミンは血糖値を下げる力はマイルドで低血糖になることはまずありません。
この薬は乳腺癌細胞の増殖を抑え完治を目指すものではなく、共生をめざすものです。しかし、すべての症例に効果があるとは限りませんので、まず1か月間内服してみてください。反応すれば、乳癌が小さくなっていくのが実感できると思います。

これらの治療法についての質問、お問合せは院長、獣医師東條がうけたまわります。お気軽にお電話ください。
院長不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

2017.11.14更新

老犬に多い悪性メラノーマは、口腔内や爪に発生するものが多く、発見された時には既に肺やリンパ節、脳などに転移しています。外科手術や放射線、抗癌剤などにより治療しますが、体にうけるダメージが大きく、飼い主さんや老犬にとってつらいものがあります。
そこで当院ではその他の治療選択肢として、次のオプションがあります。
これらの治療法は、悪性メラノーマが患者さんの免疫力によって、コントロールされるという背景に基づいています。

①患者さんの免疫力をアップさせる方法
・犬のインターフェロン(インターDOG)
・丸山ワクチン(アンサー、ゼリア新薬工業)
・シメチンジン(本来胃潰瘍の薬であるが、免疫調節作用を持つ)

②患者さんの免疫にかかているブレーキをはずす薬(人では、オプジーボが有名になりました)
・Plladia(トセラニブ)という分子標的薬
・ピロキスカム(非ステロイド系抗炎症薬だが、プロスタグランディンE2を抑えて転移を抑制する)
・ルペオール注射(悪性腫瘍におけるNF-kB)と呼ばれる細胞核内の炎症を引き起こしている分子を抑える働きをする。
・stiripentol(スチリペントール、人の小児科における抗てんかん薬)乳酸脱水素酵素阻害剤、メラノーマでは乳酸が免疫細胞の侵入を阻害するので、これをブロックする薬です。

これらの治療は単独で行うものではなく、各種組み合わせて治療いたします。
これらの治療法についての質問、お問合せは院長、獣医師東條がうけたまわります。お気軽にお電話ください。
院長不在の際は、こちらからご連絡させていただきます。

投稿者: 長居動物病院

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